消毒用エタノールを使って掃除や手指を消毒をすれば気になる菌やウイルスを除菌できます。
そのためには正しい薄め方や使い方が重要なポイントになります。
「エタノールを使うにはどのくらい薄めればいいの?」
「エタノールは何にどうやって使えばいいの?」
ここでは、消毒用エタノールのしっかり効果が出るような使い方や注意点などを詳しく解説していきます。
また入手できない場合の代用品についても紹介します。
目次
エタノールとは?
アルコールには食用・飲用に使用できる発酵アルコールと工業用に使用する合成アルコールがあります。
エタノールは、「エチルアルコール」という発酵アルコールの一種で、さとうきびなどの糖質ととうもろこし、さつまいも、じゃがいもなどのデンプンを原料としていてそれらを糖化、発酵させて蒸留して作られています。飲むお酒のアルコールでもあります。
一方、工業用のメタノールは「メチルアルコール」で石炭などから作られていてアルコールランプなどの燃料に使わています。もちろん飲むことも人の体の消毒や掃除にも使えません。
エタノールの消毒効果がある濃度
消毒に効果を発揮するアルコール濃度は、高すぎると揮発性も高すぎて菌に作用する前に蒸発してしまいます。そのため適度に薄めて使わなければなりません。
高濃度アルコールとは?
高濃度アルコールが何%以上という明確な規定はありません。
厚生労働省が出している「新型コロナウイルス感染症の発生に伴う高濃度エタノール製品の使用について(改定(その2))」の中で述べている高濃度エタノール製品(60vol%)という表記を参考にしてください。
新型コロナウイルス感染症の発生に伴う高濃度エタノール製品の使用について(改定(その2)
高濃度エタノール製品(60vol%以上)を販売する事業者は、以下のような内容を製品の表示や広告等に記載して差し支え無いこと。・本製品は医薬品や医薬部外品ではありませんが、消毒用エタノールの代替品として、手指消毒に使用することが可能です。
消毒に効果的な濃度
厚生労働省は、エタノールの消毒効果が十分に得られるようにするためには以下の2点を推奨しています。
- エタノールの効果的な濃度は原則70~83%
- 高濃度のものは精製水などで薄めて使用する
文中のvol%は体積の濃度を示していますが、%と同じです。
エタノール濃度が原則70~83vol%の範囲内であること(消毒効果が十分に得られるよう、より高濃度のものは精製水等で同範囲に薄めて使用すること。)
手指の消毒液の作り方
手指などの消毒には濃度が高すぎると菌に作用する前に蒸発してしまうので、効果が出るように下記の要領で薄めて作ります。
エタノールと水または精製水を4:1で薄めて作るので、
無水エタノールを400mlと水(精製水)を100mlを混ぜます。
※無水エタノールは水と混ざると収縮して体積が減るので、水を少し多めに入れて全体量を500mlにすると適した濃度になります。
消毒用エタノールの使い方
掃除に使う場合には布などに含ませて直接拭き取ります。その際に以下の点に注意しましょう。
- 拭き取りができない革製品や布製品などには使えない
- 扱うときはしっかり換気をする
- 引火しやすいので火気のある場所では使わない
エタノール
引用:健栄製薬公式サイト
こちらの「エタノール」は器具・物品のお掃除用で、エタノールの濃度は95.1~96.9%です。
無水エタノール
引用:健栄製薬公式サイト
こちらの「無水エタノール」は器具、物品の殺菌、消毒用でエタノールの濃度は99.5%以上です。
- 拭き掃除
布などに含ませて拭き取る。密閉容器についた食品のニオイ取りは容器の内外をよく拭き取る - スプレー
ハッカ油と混ぜてハッカ油スプレーや虫よけスプレーを作るときの材料として使う
こちらの動画ではハッカ油スプレーの簡単な作り方やその活用方法、注意点などをわかりやすく説明しています。ぜひご覧ください。
消毒用エタノール
引用:健栄製薬公式サイト
こちらの「消毒用エタノール」は皮膚や器具、物品の殺菌、消毒用でエタノールの濃度は76.9~81.4%です。
- 刺激があるので、軽く塗るだけにする。ガーゼや脱脂綿等に浸して患部に貼付しない
- 粘膜(口唇等)、目の周囲には使用しないこと
消毒用エタノールIP
引用;健栄製薬公式サイト
こちらの「消毒用エタノールIP」は添加物として殺菌用のイソプロパノールを含むため飲むことができず、酒税がかからないので比較的安価です。
エタノールの濃度は76.9~81.4%です。
エタノールを使えないもの
以下のようなものや場所にはエタノールは使えませんので注意してください。
- ノロウイルスなど、消毒剤に対して高い低抗性を持つウイルスには効果がない
- ニス塗装やラッカーなどで塗装されたもの
- 革製品
エタノールは消毒に使用されますが、ノロウイルスのような色々な消毒剤に対して高い抵抗性を持つウイルスに対してはエタノールやイソプロパノールは効果がありません。
そのようなウイルスには塩素系の消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)が効果があるとされています。
以下では塩素系の消毒剤の作り方などが詳しく紹介されています。ぜひご覧ください。
エタノールを保管するときの注意
エタノールを別の容器で保存する場合には以下の素材の容器なら入れても大丈夫です。
- ガラス容器
- ポリエチレン(PE)
- ポリプロピレン(PP)
- ポリ塩化ビニル(PVC)
- アルコール対応のポリエチレンテレフタレート(PET)
ペットボトルの材質PETは耐薬品性があまりないため、エタノールの保存には不向き。飲み物が入っていたペットボトルに入れておくと穴が開く恐れがある
エタノールは揮発性が高くて蒸発しやすいので、使用後はしっかり蓋を閉めること
ペットボトルにアルコールを保存する際の注意事項についてはこちらにて解説しています。ぜひご覧ください。
下記のアルコール対応のスプレーボトルはトリガーノズルで使いやすく、ロック付きで安全に消毒液を保存できます。シンプルなデザインでスリムなフォルムがおしゃれでお薦めです。
エタノールの代用品(手指消毒用)
高濃度アルコールのお酒
厚生労働省は、手指消毒用のエタノールの代替品として高濃度エタノール製品を用いてもよいと発表しました。高濃度のお酒でも消毒液は作れます。
手指消毒用エタノールの供給が不足していることから、医療機関等において、やむを得ない場合に限り、高濃度エタノール製品を手指消毒用エタノールの代替品として用いることは差し支えないこと。
以下の動画では、お酒を使った消毒液の作り方が紹介されていますので参考にしてください。
エタノールの代用品(掃除用)
経済産業省は、下記の3品も消毒方法とし推奨しています。残念ながら、どのエタノールも売り切れで手に入らなかったら他のもので代用しましょう。
これまでの調査結果を踏まえて有識者による検討委員会を開催し、新型コロナウイルスに有効な可能性がある消毒方法として、以下が選定されました。
「界面活性剤(台所用洗剤等)」
「次亜塩素酸水(電気分解法で生成したもの)」
「第4級アンモニウム塩」
引用: 2020年4月15日経済産業省
台所用洗剤
界面活性剤は台所用洗剤などに含まれています。以下の要領で消毒することができます。
- 500mlのぬるま湯に5ccの台所洗剤を入れて軽く混ぜる
- その液を布などに含ませて消毒したいところを2度拭きする
- 食器などは5分漬けおきしてからよくすすぐ
下記のキュキュットクリア除菌は、界面活性剤のアルキルヒドロキシスルホベタインを含んでいます。油汚れも手早く落ちて泡切れもよい台所用洗剤です。
次亜塩素酸水
次亜塩素酸水は、次亜塩素酸の含まれている水溶液です。含まれる次亜塩素酸は、ウイルスや細菌、真菌などを不活化する効果があり、昔から殺菌剤、消毒剤として使われています。
水道水やプール水、公衆浴場湯、温泉水などの消毒に使われているのも次亜塩素酸の働きによるものです。
次亜塩素酸水については、下記にて詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
除菌用ウェットティッシュ
除菌用ウェットティッシュ含まれる「第4級アンモニウム塩」とは
医薬部外品表示名称:塩化ベンザルコニウム
化粧品成分表示名:ベンザルコニウムクロリド
ウェットティッシュの成分表示には「塩化ベンザルコニウム」、「塩化セチルピリジニウム」、「ベンザルコニウムクロリド」、「セチルピリジニウムクロリド」などと書かれています。
また、ウェットティッシュでもエタノールを含んでいるものもあります。購入の際には成分などを確認してみましょう。
下記のシルコット消毒ウェットティッシュには塩化ベンザルコニウムとエタノールも含まれています。一枚ずつ取り出せて使い勝手もよく清潔さを保てます。
下記の花王クイックルワイパーウェットストロングは、エタノールと3種の界面活性剤を含んでいます。床のベタベタ汚れもゴシゴシしないで拭き取れ、床のニオイに消臭効果もあります。
下記のワイドハイターEXパワーは、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む衣料用漂白剤です。食べ物・飲み物、汗、血液等のシミや、エリ・そで口汚れの漂白に。赤ちゃんの衣料にも使えます。
まとめ
- エタノールは、「エチルアルコール」という発酵アルコールの一種である
- エタノールの効果的な濃度は70~83%
- 手指用消毒液は、エタノールと水または精製水を4:1で薄めて作る
- エタノールは布に含ませて拭き取って掃除に使う
- エタノールは、ノロウイルスなどの消毒剤に対して高い抵抗性を持つウイルスには効果なし
- エタノールの代用品に「台所用洗剤」「次亜塩素酸水」「第4級アンモニウム塩」がある
いかがでしたか? エタノールの消毒効果をしっかり発揮させるには適切な濃度が重要です。
ただし全ての菌を消毒できるわけでないので、塩素漂白剤やその他の製品を上手に利用しましょう。
以下の記事にもアルコール消毒液の作り方やエタノールを使った掃除の方法などが詳しく紹介されてますのでぜひご覧ください! ↓↓↓