最近よく耳にするようになった次亜塩素酸。
「次亜塩素酸ってどんな効果があるの?」
「次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムって効果は同じなの?」
アルコール不足のため、次亜塩素酸が注目されるようになってきましたね。
一体、何に効果があるのか?と少し調べた方もいると思います。
しかし、どのサイトも説明が難しかったりして、見てもよくわからない…
ここで次亜塩素酸の効果を中心に、わかりやすく解説していきたいと思います!
目次
次亜塩素酸とは?
最近とても注目されているので「次亜塩素酸水」は聞いたことがあるかたもいると思います。
【次亜塩素酸】という成分はとても身近なもので、実は「水道水」に含まれています。
塩素を微量に溶かすことで、殺菌作用が生まれ、水道水の清潔は保たれます。
さらに身近なものだと、お掃除によく使われるハイターにも利用されていて、【次亜塩素酸ナトリウム】という成分がその主成分です。
【次亜塩素酸】という成分は強力な「酸化剤」で、その酸化作用により、タンパク質や色素が壊れるため殺菌作用や漂白作用を持つということです。
全く同じものという訳ではないですよ〜!
取り扱うときに注意が必要なものもあります。
次亜塩素酸の効果とは?
次亜塩素酸には2つの種類があります。
- 次亜塩素酸水【除菌・消臭】
- 次亜塩素酸ナトリウム【漂白・除菌】
そもそもの成分は次亜塩素酸(HCIO)で同じですが、ppm(濃度の単位)が違います。
厚生労働省が発表している資料の中でも次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム液は、効果が似ていることがわかっています。
たくさんの菌やウイルスに効果があると認められているのですね。
特にアルコールでは消毒できない、ノロウイルスなどにも効果的とされています。
引用:厚生労働省公式サイト
また、ノロウイルスを調査した国立医薬品食品衛星研究所では、殺菌力のある塩素が含まれていれば、ウイルスに効果があるとされています。
不活性化効果(ウイルスを死滅させる効果)は、濃度やpH(酸性・アルカリ性)によって変化すると記載されています。
塩素系消毒剤の殺菌効果は,塩素の酸化力によるものと考えられており, 基本的に殺菌力を持つ塩素化合物が十分含まれていれば,ウイルスの不活化効果は期待される。しかし,不活化効果は,塩素化合物の種類や濃度及びそれに影響を及ぼす pH, または負荷物の含有量などにより変化する。
引用:ノロウイルスの不活化条件に関する調査(国立医薬品食品衛生研究所)
高い殺菌力があるのですが、次亜塩素酸水は有効成分(医薬部外品や医薬品)として登録されていないので、「殺菌」の表示はできないのです。
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは同等の殺菌力があると認められていますね。
「次亜塩素酸って無敵だな。」と思いませんでしたか?
しかし実は、殺菌力にはちょっと違いがあるんです。
次亜塩素水は、とても高い殺菌力があると言われているのはご存知でしょうか?
以下の画像を見ていただくと、次亜塩素酸水は、強い菌(ボツリヌス菌等)まで殺菌効果があるということがわかります。
対して、次亜塩素酸ナトリウムはノロウイルスやインフルエンザには効果的ですが、一歩及ばずですね。
引用:楽天公式サイト
次亜塩素水は次亜塩素酸ナトリウムに比べて約80倍の殺菌力があるとされています。
一体この差はどこに違いがあるのでしょうか?
なぜ次亜塩素酸水は効果が高いの?
先ほど、濃度やpHなどによって効果が違うとありましたが、ここがポイントです!
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは、化学特性は違うものの、溶けている物質は同じでpHが違うだけです。
種類 | 次亜塩素酸水 | 次亜塩素酸ナトリウム |
---|---|---|
pH | 微酸性(pH5.0〜6.5) | アルカリ性(pH7.5) |
成分 | 次亜塩素酸(HCIO) | 次亜塩素酸イオン(CIO-) |
塩素濃度 | 10〜30ppm | 100〜200ppm |
pHが変わると次亜塩素酸(HCIO)は次亜塩素酸イオン(CIO-)に変化します
次亜塩素酸水は、塩酸や食塩水を電気分解したもので酸性となります。
酸性を細かく分けると、以下の3つに分けられます。
- 強酸性次亜塩素酸水
有効塩素濃度➡︎ 20~60ppm(0.002%~0.006%)PH2.7以下 - 弱酸性次亜塩素酸水
有効塩素濃度➡︎ 10~60ppm(0.001%~0.006%)PH2.7~5.0 - 微酸性次亜塩素酸水
有効塩素濃度➡︎ 50~80ppm(0.005%~0.008%)PH5.0~6.5
この中でも、微酸性次亜塩素酸水の効果が一番有効とされています!
なぜなら微酸性の状態の時が、次亜塩素酸を多く含んでいるため殺菌力が高いのです。
そして「弱酸性ビオレ♪」などのCMで、弱酸性は人の肌に触れても害はないと知られていますね。
次亜塩素酸の成分を残したまま、電気分解でpHを調整するので、低濃度で安心して使える殺菌料と言われているのです。
pHが高くなるにつれてアルカリ性に近づいていきます。
アルカリ性になると、ハイターを触った時のように手が溶けてヌルヌルしてしまうという現象がおきます。
それが、次亜塩素酸イオン(OCL-)つまり次亜塩素酸ナトリウムということです。
引用:LINES∞公式サイト
次亜塩素酸ナトリウムも殺菌力はありますが、人には少々害があるため、高い殺菌力と手軽さをかねそなえた次亜塩素酸水が注目されてきたということですね。
殺菌のメカニズム(細菌)
次亜塩素酸ナトリウムは、ボツリヌス菌などの強い菌には効果がないのは、簡単に言うと細菌の持つ膜を破ることができないからです。
アルカリ性になると次亜塩素酸はイオン化してしまうので、細菌の膜を通りにくくなります。
「有芽胞菌(膜をもった細菌)」は、壁を破って、中の格となっている菌を殺さなければ殺菌とはなりません。
次亜塩素酸ナトリウムは、細胞の外側から攻撃はできますが、中に侵入することはできません。
しかし次亜塩素酸水は、細胞外部から内部にある原因物質を攻撃するため、そもそもの物質を殺すことができるのです。
この違いが、次亜塩素酸水のスゴいところなんですね!
ここからは、次亜塩素酸水について詳しく見ていきたいと思います。
次亜塩素酸水の特徴
特徴としては以下4つです。
- 強力な殺菌力・消臭力
- 塩素系でも安心・安全
- 環境に優しい
- 安定性がない
先ほど説明した通り、一番の特徴は強力な殺菌力です。
肌に触れたりしても影響はないので、小さなお子さんがいるご家庭でも安心ですね。
そして、次亜塩素酸水は殺菌効果を発揮した後、すぐに水に戻るという特徴もあります。
分解するため残留性もありません。
しかし、次亜塩素酸は元々気体なので、気化するのが早いので安定性がありません。
炭酸水の炭酸も放っておくと、どんどん炭酸が抜けていきますよね?
それと同じで、濃度をしっかり保つためには、保存方法が重要になってきます。
次亜塩素酸水の保存方法
次亜塩素酸水は作ってから一ヶ月程度であれば作ったときの殺菌活性を保っている可能性があります。
時間が経過するにつれて濃度が低下していってし、いずれ殺菌活性を失ってしまうものと予想されています。
いつの間にか、ただの水で消毒していることになっていたらと思うと怖いですよね。
保存方法は以下の3つを意識すると長持ちさせることができますよ!
- 密閉容器に入れる
- 日光や紫外線が当たらないとこに置く
- 温度が上がらない容器・場所に置く
次亜塩素酸は、気体なのでどんどん抜けていきます。
これを防ぐために、しっかりと蓋が閉まる容器に入れることが重要です。
また、日光や紫外線・温度の上昇により濃度が変化してしまうので気をつけましょう!
お家の中で日が当たらない、涼しいところはどこでしょうか?
答えは【冷蔵庫の中】なんですね〜!
冷蔵庫の中で、しっかり蓋の閉まる容器に入れて保管することが適切です!
もっと詳しく、容器や保存方法について書いてある記事がありますのでご覧ください↓
次亜塩素酸水の種類ってあるの?
次亜塩素酸水には種類がいくつかあります。
先ほどpHによって強酸性・弱酸性・微酸性と3つに分けられることは説明しました。
強酸性は、医療機器などの消毒や野菜や調理器具の消毒に使われており、一般家庭ではあまり使われません。
弱酸性は、家庭や公共機関、観光施設等の空間除菌などで用いられることが多いです。
そして微酸性は他の2つに比べると、比較的管理がしやすく人への影響も少ないため安心して使えます。
生成方法による違い
作り方によっても違いがあります。
- 電解水…塩酸または塩化ナトリウム水溶液を電気分解して生成する。
- 混合水…次亜塩素酸ナトリウムと希塩酸を水で希釈混合し、中和されることで生成する。
電解水も混合水は2つとも効果変わりはありません。
しかし、厚生労働省の次亜塩素酸水の定義にはこう記載されています。
本品は,塩酸又は食塩水塩化ナトリウム水溶液を電解することにより得られる,次亜塩素酸を主成分とする水溶液である。
引用:厚生労働省公式サイト
殺菌効果と安全性が認められているのは、「食塩や塩酸を水に溶かして電気分解したもの」のみになります。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液を希釈した物などは、本当は【次亜塩素酸水】とは言えないのです。
厚生労働省では、化学反応が生じている可能性があるので、混合水は販売そのものが認められていません。
中には、成分をごまかして販売している業者も…
まだ次亜塩素酸水について、はっきりしていないことが多く、危険なものも中には混じっている可能性もあるようです。
安全に見極める方法がありますのでチェックしていきましょう!
安全な次亜塩素酸の見分け方
安全な見分け方について解説していきたいと思います。
- 成分:次亜塩素酸or水と食塩
- 濃度:200ppm以上
- 製造年月日:いつ作られたか?
まず、どんな成分で作られているのか?ということを確認しましょう。
次亜塩素酸か水と食塩であれば、電気分解されている次亜塩素酸水なので問題はありません。
次に、濃度が書いてあるかをチェックします。
濃度は200ppm以上あればノロウイルスなどにも対応できます。
濃度が書いてなかったりする場合もあるので、その商品は避けましょう。
最後にとても重要なのが、製造年月日です。
もし買ったものが1ヶ月以上前のものであるとすると、すでに効果が下がっている可能性があります。
製造してすぐ出荷されているものであれば安心して使うことができます。
ただし、次亜塩素酸水はどんどん濃度が下がっていくので、早めに使い切ることをおすすめします。
次亜塩素酸を使うときの注意点
次亜塩素酸水は効果が高いですが、とてもデリケートなものですね。
使うときに注意する点が3点あります。
間違った使い方をしていると、効果が半減していたなんてこともありますので、しっかりと注意点はおさえてくださいね!
掃除してから使う
殺菌場所は事前に汚れを拭いておきましょう。
次亜塩素酸水の特徴として、有機物に触れると水に変化してしまうからです。
菌やウイルスに効果を発揮する前に、汚れに反応してしまったら殺菌効果が十分に発揮できないですよね?
まずは除菌場所によって洗ったり、ウェットティッシュなどで拭くなどしてから次亜塩素酸水を使ってください。
保存方法に注意する
次亜塩素酸水は日光や温度などに左右されやすく、安定性がないので、保存方法に注意が必要です。
家庭用として使える微酸性次亜塩素酸水は、遮光容器や密閉性の高い容器に入っているものがいいですね。
直射日光を避けて、温度が上がらないように注意しましょう。
また、使うときはスプレーでも構いませんが、保存の際は蓋のしっかり閉まる容器(ペットボトル)などの方が長く保存できます。
次亜塩素酸ナトリウムと間違わないように
次亜塩素酸ナトリウムは、人の肌や気管に健康被害が出る可能性があります。
間違って手指へスプレーしたり、加湿器に入れたりしないでください。
次亜塩素酸ナトリウムを希釈しても、アルカリ性のままなので、必ず確認してから使うようにしましょう。
濃度別の使用方法
家庭での次亜塩素酸水の利用は、ここ最近増えてきましたね。
スプレータイプや加湿器に入れて空間除菌なども注目されていますので、使いたい方法によって選べます。
基本的には殺菌場所に直接スプレーしたり、拭いたりしましょう。
手が荒れることもないので、手指の消毒することもできますが、なるべくたっぷり使う方がより菌が除菌されます。
濃度【400ppm】(0.04%)
- ノロウイルスの嘔吐物の殺菌
- 風呂場のカビ取り
高い濃度で次亜塩素酸水を使うのは、菌を完全に全滅させる場合か、菌が有機物にまみれている場合です。
400ppmの濃度で使用する場合、ジャバジャバ使った方が効果的です。
特にノロウイルスの対処をする時は、しっかり水滴が見えるくらい使ってください。
濃度【200ppm】(0.02%)
- キッチンシンクの除菌・消臭
- ゴミ箱の除菌・消臭
次亜塩素酸水には、洗浄効果はないんです。
そのため、キッチンシンクなど除菌したい部分は、先に汚れを落としてから使いましょう。
まだ濃度的には濃いので、掃除する際は手袋をつけてくださいね!
濃度【100ppm】(0.01%)
- 臭いの気になる場所
- 物の消毒
濃度100ppmは消臭効果を目的とした目安濃度です。
カーテンやシーツなどの布製品から、下駄箱や車の消臭にもなります。
また、タバコを吸っている人はタバコの匂いが気になる時や、ペットを飼っている人はペットのトイレなどの消臭ににもなります。
長時間効果が発揮されるわけではないので、匂いが気になる場合はその都度スプレーしてください。
濃度【50ppm】(0.005%)
- 手指の消毒
- おもちゃや哺乳瓶の除菌
この濃度であれば、人に直接利用することができます。
子供や赤ちゃんのおもちゃの消毒や、手指の消毒にも使うことができます。
しかし、次亜塩素酸水は有効成分(医薬部外品や医薬品)として登録されていません。
絶対に安心!というわけではないので、使う時は注意点を守って利用して下さい。
まとめ
- 次亜塩素酸は高い殺菌力がある
- 次亜塩素酸水は細菌の膜を壊すことができる
- 安定性はないが、弱酸性で安心して使える
- 見分け方としては、成分・濃度・製造年月日を確認する
- 濃度によって使う場所を分ける
次亜塩素酸は、高い殺菌力で肌にも優しいということがわかりましたね。
しかし、家庭用に注目されてきたのが最近なので、まだ不確かな情報も中には混じっています。
正しい知識と、正しい使い方で、身を守れるようにしたいですね。
次亜塩素酸水の使い方の記事がありますのでご覧ください↓
今日は次亜塩素酸について勉強していきましょう!
ちょっと科学的で難しいかもしれないけどついてきてねっ。