キッチンのお掃除に大活躍するアイテムとして有名なキッチンハイターですが、どんな成分が入っているかご存知ですか?
あのツンとした独特なニオイや、きれいに漂白してくれる要因である成分が少し気になりますよね。
そこで今回は、たくさん種類のある「ハイター」の違いを解説しながら、キッチンハイターの成分とその使い方を徹底的に解説していきます。
「ハイターってよく耳にするけど、実際何なのかよく知らない」という方は必見です!
目次
ハイターって何?
引用:花王公式サイト
ハイターとは、株式会社花王から販売されている塩素系漂白剤のこと。つまり漂白剤の商品名です。
ドイツ語で「晴れた、澄んだ」という意味のheiter(ハイター)からきており、漂白して真っ白に仕上がると気分も晴れ晴れしくなると言う意味で名称に用いられたようです。
最初は「花王ブリーチ」という名称で1962年に販売。その後1966年に「花王ハイター」に名称が変更されました。※花王ブリーチは、業務用として現在も販売されています。
ハイターは、花王が販売しているすべての漂白剤のブランド名の総称としての役割も果たしており、その違いが分からず混同してしまいがちです。
以下では、それぞれの違いや特徴を解説していきます。
ハイターとブリーチ
「ハイター」とは、花王の商品名です。
他のメーカーはこの名前を使うことができないため、同じ成分の漂白剤を「ブリーチ」という名前で売っています。※英語で漂白剤のことをbleach(ブリーチ)といいます。
成分はほとんど同じですが、界面活性剤に少しだけ違いがあります。
- 次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)
- 水酸化ナトリウム
- アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(界面活性剤)
- 次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)
- 水酸化ナトリウム
- アルキルアミンオキシド(界面活性剤)
アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは「陰イオン界面活性剤」という性質、アルキルアミンオキシドは「両性界面活性剤」という性質を持っています。
陰イオン界面活性剤
水に溶けたときに、親水基の部分が陰イオンに電離する界面活性剤です。石けんをはじめ、古くから多くの種類が開発されてきました。現在でも、合成洗剤に多く利用され、その利用量は全界面活性剤の約半分を占めています。両性界面活性剤
水に溶けたとき、アルカリ性領域では陰イオン界面活性剤の性質を、酸性領域では陽イオン界面活性剤の性質を示す界面活性剤です。洗浄性や起泡性を高める補助剤として広く使用されています。
引用:石鹸百科公式サイト
また、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(陰イオン界面活性剤)の方が毒性が強いようです。漂白力は高いですが、使用したらよく洗浄するべき成分です。
メーカー | 洗浄力 | 値段 | |
ハイター | 花王 | ◎ | Amazonで¥187/600ml |
ブリーチ | 花王以外 | 〇 | Amazonで¥112/600ml (第一石鹸) |
ハイターとワイドハイター
同じ「ハイター」という名前が入っていますが、「ハイター」が塩素系漂白剤に対して、「ワイドハイター」が酸素系漂白剤という明確な違いがあります。
また、ワイドハイターよりもハイターの漂白力の方が強力です。
株式会社花王では、「ハイターシリーズ」と「ワイドハイターシリーズ」に分類して、それぞれのシリーズに該当する製品を各種取り揃えています。
ハイターシリーズは洗濯用・キッチン用・トイレ用と幅広い用途の製品が揃えられており、ワイドハイターシリーズは用途が洗濯用に限られている点が違っています。
また、同じ洗濯用でもハイターとワイドハイターの違いは、ハイターが白物衣類の漂白に限定されるのに対して、ワイドハイターは、白物に加え色柄物の衣類にも使える点も違っています。
漂白剤の タイプ | 漂白力 | 掃除場所 | 色 | |
ハイター | 塩素系 | ◎ | 洗濯・キッチン・トイレ | 白物のみ |
ワイド ハイター | 酸素系 | 〇 | 洗濯のみ | 色柄物もOK |
ハイターとキッチンハイター
どちらも次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系の漂白剤ですが、違いは「界面活性剤」の有無です。
界面活性剤の有無は漂白力には違いなく、洗浄力がプラスされます。
台所で使う「キッチンハイター」にはこの界面活性剤が入っているため、自分で洗剤を加えなくても、これ一本で「漂白+洗浄」の両方ができるのです。
また、ハイターには「白のワイシャツを長く漂白液につけると衿や袖が黄色く変色することがある」等の注意表示がされています。
キッチンハイターには「生ゴミ・食酢・アルコールと混ざらないようにする。有害なガスが発生して危険」等の注意表示があるので気を付けましょう。
ちなみに先ほど説明した「ブリーチ」に界面活性剤を加えると「キッチンブリーチ」になります。
成分 | 機能 | |
ハイター | 次亜塩素酸ナトリウム | 漂白 |
キッチンハイター | 次亜塩素酸ナトリウム +界面活性剤 | 漂白+洗浄 |
キッチンハイターを洗濯に使っても大丈夫?
使い捨てのマスクを洗ってみた。意外とうまく洗えるものだね。
始めにキッチンハイターで洗って殺菌し、塩素の匂いを消すために2度目は洗濯用洗剤で押し洗い。
きちんと形を整えて干したら新品のようになったよ。やや毛羽立ちがあるけど、自分で使うなら問題なし❗— pic_0821 (@pic_hys) April 4, 2020
「ハイター」と「キッチンハイター」は同じ塩素系漂白剤で、汚れを落とす「界面活性剤」が入っているか入っていないかだけの違いです。
なので、キッチンハイターを洗濯に使ったり、逆にハイターをまな板の殺菌に使ったりしても問題はないでしょう。
マスクの洗濯にキッチンハイターを使っている人も多いようです。
ただし、製造会社の花王さんはそれぞれ分けて使うことを推奨していますので、あくまでもご自身の判断でご使用ください。
キッチンハイターの成分
もう少し詳しくキッチンハイターの成分について解説していきます。
- 次亜塩素酸ナトリウム
水道水やプールの消毒にも使用されている成分。また、カビの細胞を破壊して除菌する効果とカビの色素を分解して落とす効果もある。 - 界面活性剤
キッチン用洗剤などにも含まれている洗浄成分。 - 水酸化ナトリウム(アルカリ性)
次亜塩素酸ナトリウムの成分を汚れに浸透させる働きをしている。
主成分である「次亜塩素酸ナトリウム」は酸化剤に分類される物質です。この物質が分子レベルで汚れを分解して落とす「漂白剤」として働きます。ハイターの独特な臭いの原因もこの成分です。
一方で、石けんや中性洗剤にも入っている「界面活性剤」は、水に溶けにくい汚れを包み込み、水に溶けやすくすることで汚れを落とします。
つまり、「汚れ自体を酸化分解する機能」と「汚れを浮かせて落とす機能」が両方備わったキッチンハイターは最強なのです。
また、次亜塩素酸ナトリウムが安定的にアルカリ性を保てるよう、「水酸化ナトリウム」が加えられています。
キッチンハイターの種類
キッチンハイターには「水で薄めて使う液体タイプ」と、そのままスプレーして使う「キッチン泡ハイター」の2種類があります。
どちらも成分や効果は同じだが、使用方法が異なるので目的や使い勝手のよさで選びましょう。
液体タイプのキッチンハイター
嫌なにおいがついた食器や弁当箱、しつこい茶渋がついたカップなどは、液体タイプでつけ置きする。
- 桶
- 液体タイプのキッチンハイター
- 桶に水5ℓとキッチンハイター50ml(キャップ2杯)の割合で洗浄液を作り、食器や弁当箱を入れる。
- 除菌・消臭の場合はプラスチックで約2分、木製は5分つけ置きする。
漂白までしたい場合は約30分つけ置きする。 - 最後に丁寧に水洗いして流す。
食器類の黄ばみ・黒ずみなどを複数まとめて漂白したい時は、液体タイプのキッチンハイターでつけ置きしましょう。
つけ置き時間は、除菌・消臭の場合は2分、漂白は30分です。
液体だと洗浄液の成分が浸透するので、しっかりと除菌・漂白・消臭したいときにおすすめの方法です。
注意点としては、原液の濃度が高いので必ず水で薄めて使うことと、つけ置き後はしっかり水ですすぐことです。
もし、つけ置きする用の桶がない場合は下の動画のようにしてみましょう。↓
また、キッチンハイターの主成分である次亜塩素酸ナトリウムには、雑菌やカビの除菌のほかにノロウイルスや食中毒の予防効果もあります。
冷蔵庫の掃除にも液体タイプのキッチンハイターを使いましょう。
- 桶
- 液体タイプのキッチンハイター
- ゴム手袋
- キッチンペーパーor布
- 冷蔵庫内の食材を全て取り出す。
- プラスチックの卵ケース、棚、野菜ボックスなどのパーツは取り外しておく。
- ゴム手袋をし、洗い桶に水5ℓにキッチンハイターの原液50ml(キャップ2杯分)を入れて洗浄液を作り、取り外したパーツを入れる。
- 約30分程度つけ置きした後、流水で丁寧に水洗いする。
- 乾いたふきんで水分を拭き取る。
- 冷蔵庫内は、水1ℓにキッチンハイター10mlを入れて洗浄液を作り、キッチンペーパーや布などに含ませて拭く。
- 約10分放置し、丁寧に水拭きする。
ドアパッキンの黒いカビもキッチンハイターで掃除ができます。
キッチンハイターを水で5倍程度に薄めた洗浄液を布にしみ込ませて拭き、細かい部分は綿棒に洗浄液をつけて塗り、しばらく放置してから水拭きする。
アルコール除菌剤でもカビは除去できますが、漂白効果がないためカビの黒いシミが残ってしまいます。その点、次亜塩素酸ナトリウムはカビの除菌と同時にカビの黒いシミを漂白するのできれいな仕上がりになります。
泡スプレーのキッチンハイター
マグカップだけなど単体を漂白したい時にはサッと使える泡スプレーを使いましょう。
ほかのものと一緒につけ置きするには抵抗感がある三角コーナーや排水口の除菌にも便利です。
- キッチン泡ハイター
- まな板を水洗いし、汚れを落としておく。
生魚や肉の汚れに熱湯(60度以上)をかけるとタンパク質が固まって取れにくくなるので、必ず水で汚れを落とす。 - まな板と包丁に泡ハイターをスプレーする。プラスチック製まな板は30秒、木製まな板と包丁は2分放置する。
ステンレス製の包丁は長時間放置すると錆びる恐れがあるので、放置時間は厳守。 - 30秒以上流水ですすぎ、水気を拭き取る。
生魚や肉を切った後のまな板と包丁には、雑菌やにおいがついているので、泡ハイターで除菌・消臭しておきましょう。
漂白効果によって、まな板についた包丁傷の黒ずんだ汚れも落としてくれるので、すっきりときれいになります。
泡ハイターを除菌・漂白したい部分にそのままスプレーするだけなのでとても簡単です。
しかも除菌・消臭の場合は30秒、漂白は5分放置するだけでいいので液体より時間もかかりません。
キッチンハイターで落とせる汚れと落とせない汚れ
ハイターでどんな汚れも落ちそうな気がしてしまいますが、万能ではありません。
汚れの種類により相性があります。酸化されやすい有機物の汚れには効果的ですが、無機物の汚れは落ちないことが多いでしょう。
「生き物に由来する」汚れが有機物、そうではないものが無機物と考えましょう。
- 食べ物の汚れ全般
- カビ・ヌメりタイプの水あか(微生物)
- 服の黄ばみ(ヒト由来)
- 鉄さびなど
- 白いうろこ状の水垢(ミネラル)
- 服の泥汚れ
https://www.instagram.com/p/B9qDrkNJLP6/
食べ物由来の汚れは、ほとんどが有機物で、タンパク質、脂質、その他植物の色素などが代表的です。雑菌の繁殖したタイプの水あか・カビも、やはり生き物なのでハイターで分解できます。
服の黄ばみ(タンパクや皮脂汚れ)、血液によるシミなども、色素タンパクを分解して色がなくなります。
一方、鉄さびや泥汚れなどは、明らかに生き物由来ではありません。水垢の中でも、白いうろこ状の水垢は、水のミネラル分が固まったものなのでこういったものには効きません。
キッチンハイター使用上の注意
- しっかりと換気を行う
- 混ぜてはいけないものに注意
- 色柄物の色落ち
- 金属の腐食・変色
- 作業中に手袋をする
キッチンハイターなどの塩素系漂白剤には独特な刺激臭があり、換気不足で気分が悪くなる場合もあります。
換気扇を回したり、窓を開けたりするなどの換気をしましょう。
キッチンハイターはアルカリ性であり、酸性のもの(塩酸入りトイレ洗剤、酢、クエン酸など)、ジクロロイソシアヌル酸塩を成分とする塩素系漂白剤(排水溝のヌメり取りなど)と混ぜてはいけません。
守らないと有害な塩素ガスが発生することがあり、非常に危険なので気を付けましょう。
また、強い漂白効果があるため、色柄物の布きんの色落ち・金属の腐食や変色・手荒れする恐れがあります。
特に塩素系漂白剤は、漂白・除菌力が高い反面、使い方を誤ると思わぬ失敗や事故を招くことがあります。注意表示をよく読んでから使うことが大切です。
まとめ
- ハイターは、株式会社花王から販売されている塩素系漂白剤の商品名。(他のメーカーが「ブリーチ」)
- ハイターは塩素系漂白剤で、ワイドハイターは酸素系漂白剤。
- キッチンハイターは、ハイターに界面活性剤が入り、洗浄力がプラスされたもの。
- キッチンハイターの成分は「次亜塩素酸ナトリウム」「界面活性剤」「水酸化ナトリウム」
- 複数の漂白には液体タイプ、単体の漂白には泡スプレータイプを使う
- キッチンハイターは有機物(生き物由来)の汚れに効果的
- キッチンハイターは漂白力が強い分、使用上の注意はよく確認して使用する。
「ハイター」と名のつくものだけでもたくさんありましたね。
洗浄力もあり、スプレーして短時間置いておくだけで漂白できる「キッチン泡ハイター」は特に最強なお掃除グッズだということが分かりました。
どうしても食器用洗剤だけでは落としきれない汚れや雑菌は「キッチンハイター」を使い、漂白・殺菌して気持ちよくキッチンを使いましょう。