おうちで過ごす時間が増え、手作りで石鹸を作る方も増えてますね。
宝石石鹸、ぷるぷる石鹸、アロマ石鹸など色々ありますが、灰でも石鹸が作れるのはご存知でしょうか?
「灰から石鹸を作るなんて想像できない…」
「灰を使って石鹸を作るメリットって何かあるの?」
何かを燃やしたあとにできる「灰」で石鹸が作れるなんて驚きですが、メリットもあるんです。
目次
灰を使った石鹸の作り方
灰を使った石鹸を作る場合、必要な材料は石鹸のベースになる「油脂」と「灰」です。
石鹸づくりのために必要な物質は、草木を燃やして出来る「灰」に含まれています。
- 油脂(パーム油やココナッツ油)
- 灰(雑草)
- 鍋
- ボウル
- 泡立て器
- 石鹸を入れる型
- 草木(雑草)を燃やして灰を作る。
- この灰に熱湯を注いで一晩寝かせる。
- ガーゼなどでろ過し、灰汁を取り出す。
- 油脂にゆっくりと灰汁を混ぜていく。
- 石鹸用の型に流し込み、固まるまでしばらく待つ。
少し工程は違いますが、上記の動画のようなイメージです。
灰を使って石鹸を作るときには、まず灰から「カリ」を含んだ灰汁(アク)を取り出さなければいけません。
雑草を燃やすのはちょっとやりづらい作業なので、BBQのついでに出た灰を使ったり、灰だけ購入して作ったりすると難易度が下がります。
また、油脂に灰汁(アク)を加えて混ぜ合わせていくときは、アルコールを加えるなどして油脂と灰汁の温度を高くするとより早く鹸化ができるようです。
作るときの注意点
灰汁(アク)に含まれている成分は燃やした植物の「種類」や「量」によって大きく左右されます。
- 固形石鹸:水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)
- 液体石鹸:水酸化カリウム(苛性カリ)
海藻などの植物から出た灰には「ナトリウム」が豊富に含まれています。
アルカリ剤が製品として存在しなかった時代でも、ナトリウムが豊富なオカヒジキ類の植物が採れる地中海地方では固形石鹸を作っていました。
一方、草木から採れる灰には微量の「炭酸カリウム」が含まれており、これは液体石鹸の原料になるものです。
つまり、普通の草木灰からはやわらかい石鹸が作られるということになり、固い石鹸にはなりづらいという傾向があります。
もし灰を使って石鹸を作るときは、様子を見ながら分量を加減するなどの工夫が必要ですね。
使い方
灰石鹸が得意なのは油汚れなので、キッチン周りで大活躍します。
- 油でベトベトのお皿
- レンジ回りの油汚れ
灰石鹸に水を合わせて泡立てて放置し、しばらくたったらすすぐ。
この方法で油汚れが落ちてサラサラになります。
苛性ソーダの危険性
石鹸は油脂とアルカリを混合することで作られるものですが、そのときアルカリとして使われるのが「苛性ソーダ」です。
手作り石鹸にはこの「苛性ソーダ」をよく使用しますが、薬事法で劇物と指定されているたいへん危険な薬品です。
- 手に触れると火傷のようにただれる
- 目に入ると失明する可能性がある
苛性ソーダは強いアルカリの性質を持っていて、油脂と混ざることで油脂を固めて石鹸として使いやすい形にまとめ、洗浄力を高めてくれます。
しかし、上記のようなリスクがあるため特に小さなお子さんやペットがいるという場合、あまり家庭に置いておきたくないと考える人も多いはず。
そして購入するときに身分証明書が必要で、販売している薬局にも限りがあるので手に入りにくいという問題もあります。
そう、手作り石鹸なら天然素材を使ったものが安全なのです。
↓米ぬかを使った石鹸の作り方はこちらの記事をご覧ください。
知っておくと面白い!石鹸の歴史
石鹸といえば毎日の生活に欠かせないものですが、日本に初めて石鹸が入ってきたのは16世紀(1543年頃、織田・豊臣時代)です。
一般庶民が石鹸を使うようになったのは明治以降です。
最も原始的には、川や泉のほとりで身体を洗い、衣類はたたく・踏むという物理的な力を利用した方法で洗浄していたと考えられています。
やがて人は植物の灰汁(アク)や煮汁などが汚れを取ることを知り、身体や衣類の洗浄に利用するようになりました。
特に灰汁(アク)は人類最古の洗剤と言われ、日本でも洗濯には灰汁(アク)が用いられていました。
上記のことを踏まえ、昔の洗浄剤について詳しく見ていきましょう。
灰を利用した洗浄
植物の灰にはアルカリである「炭酸カリウム」や「炭酸ナトリウム」が豊富に含まれており、それを水に浸すとその上澄みは灰汁(アク)と呼ばれる強いアルカリ性の溶液になります。
アルカリは汚れの中の油分と反応して一種の石鹸になり、それが汚れ落としに役立つのです。
「アク」には呼び方は同じでも性質の異なる2種類があります。
- 植物の灰を水に浸して得た上澄み液
- 動植物に含まれるえぐ味、渋味、苦味などの物質
今回取り上げているのは1つ目の「灰汁(アク)」です。
このように便利な作用がある灰汁(アク)は、洗剤や漂白剤として古くから使われてきました。
また、紀元前約2300年のころに「獣を丸焼きにするとき、薪が燃え尽きた灰に脂がしたたり落ちて鹸化反応が起きた」のが石鹸の始まりと言われています。
石鹸は平たく言うと「油脂を強アルカリで煮たもの」なので、灰と油で作る石鹸は一般的な石鹸の天然素材バージョンということです。
サポニンを利用した洗浄
引用:かぎけん花図鑑公式サイト
サポニンは、「サポゲニンと糖」から構成されていて、サポンソウ(写真の植物)をはじめさまざまな植物に含まれている物質です。
- サポンソウ
- ムクロジ
- サイカチ
- 米
- 高麗人参
- 大豆
サポニンには殺菌・抗菌作用があり、水に溶けると石鹸のように発泡作用があり汚れを落とす働きがあるため、天然の界面活性剤として用いられています。
平安時代においてもシャンプーの代わりに、サポニンを高濃度に含むムクロジの果皮やサイカチの実を潰して水と混ぜ、泡立てて使っていたといわれています。
また、界面活性作用は石鹸に比べるとかなり弱いのですが、世界には今日でもサポニンを多く含む植物を石鹸代わり利用する民族が多く存在します。
高分子コロイド物質を利用した洗浄
小麦粉や卵白には「高分子コロイド物質」が含まれており、これは汚れと結合することでその汚れを取り除くことができます。
小麦粉の成分を含んだ麺類のゆで汁も似たような汚れを落とす効果があります。
コロイドとは
コロイド粒子(固体や液滴)が他媒体(気体・液体・個体)に分散した全体のこと。(例:泥水)
高分子コロイドは、分子が多数ではなく1個で出来たコロイドのことです。
古代では、稲や麦の茎を干し粉にして髪につけ、汚れや油を吸い取らせて櫛で梳き落としていたようです。
日本でも江戸末期の洗髪には、うどん粉、卵白、ツバキの油粕などが使われ、浮世絵には髪洗いの姿を女性美のひとつとして描かれています。
小麦粉は油を吸収する習性があるので、こぼしてしまった油にふりかけて掃除をするという掃除方法は今でも建材です。
粘土で汚れを吸い取る洗浄
「モンモリロナイト」を主成分とする天然の粘土を、日本でも古くから洗髪や食器を洗うものとして日常的に用いられてきました。
この「モンモリロナイト」とは、地中の溶けた岩石やマグマが火山の爆発で微細な火山灰となり、水底に堆積した後に数百万年かけて加水分解して再化合したものです。
- 水や油など様々な有機物を乳化剤なしで混ぜ合わせることができる。
- 研磨剤や界面活性剤などにより、肌に負担をかけない洗浄ができる。
- 乾くと非常に薄いフィルム状の結晶皮膜が肌を覆い、「潤い」を保って肌を保護できる。
汚れを落とす力だけでなく、肌を守る作用もあります。
そのため、今でも掃除用品よりスキンケア商品に多く使用されています。
まとめ
- 雑草の灰からはやわらかい石鹸が作られ、固い石鹸にはなりづらい。
- 灰石鹸はキッチン周りで大活躍する。
- 石鹸を手作りする際に一般的に使われる「苛性ソーダ」は危険な薬品。
- 安全性を考えるなら天然素材を使った手作り石鹸がおすすめ。
- 灰汁(アク)は人類最古の洗剤と言われ、日本でも洗濯には灰汁(アク)が用いられていた。
- 灰汁(アク)は、汚れの中の油分と反応して汚れを落とす強いアルカリ性。
- 灰と油で作る石鹸は、原材料的に特に売られている石鹸に近い。
石鹸が製品化する前の時代から使用されていた「灰」。
手作りで使うのは少し工夫が必要ですが、安全に手作りしたいならいいかもしれません。
あなたも天然素材を使って石鹸を手作りしてみてはいかがでしょうか?
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今回は、灰を使った石鹸の作り方をご紹介!天然素材をおすすめする理由も解説します。